2026年3月15日午後、在日台湾同郷会は東京都文京区民センター3A会議室にて特別講演会を開催し、国防安全研究院 国防戦略・資源研究所所長の蘇紫雲氏を日本にお迎えしました。蘇所長は「もし明日、台湾防衛戦が起きたら――在日台湾人のあなたにできること」と題して講演を行い、在日台湾人の皆さまと直接意見を交わしました。

 今回の講演は、時局に即した内容であっただけでなく、多くの在日台湾人が心の中で抱きながらも、必ずしも口にしやすいとはいえない問いにも応えるものでした。すなわち、「いつの日か本当に台湾海峡で危機が起きたとき、日本にいる私たちには何ができるのか」という問いです。

 講演の中で蘇紫雲所長は、台湾海峡をめぐる情勢はたしかに厳しいものの、私たちは不安や心配にとどまり続ける必要はないと述べました。不安にのみ飲み込まれるのではなく、まずは冷静に現実を理解し、平時から備えを積み重ねていくことが大切だということです。本当に重要なのは、台湾の軍事力だけではなく、社会全体が危機に直面した際のレジリエンス、そして海外に暮らす台湾人が基本的な認識とつながり、行動する力を備えているかどうかでもあると強調されました。

 講演は非常にわかりやすく、中国による対台湾脅威のさまざまな形態から話が始まりました。そして現代の衝突は、もはや従来型の戦争だけではなく、認知戦、グレーゾーン行動、サイバー攻撃、情報操作、封鎖といった複合的な手段を含むものであることが説明されました。蘇所長はまた、台湾が自らを守るためには前線だけに頼るのではなく、社会全体で防衛とレジリエンスを支えていく必要があると、特に強調されました。このことは、多くの参加者に「海外にいる台湾人も決して当事者の外側にいる存在ではない」ということを改めて考えさせる機会となりました。

 海外に暮らす台湾人の役割について、蘇所長は多くの示唆に富む視点を示されました。海外コミュニティは平時においてはあくまで日常生活を大切にしながらも、同郷会やコミュニティ・ネットワーク、地域とのつながりを通じて、危機に備えるための基礎的な準備を少しずつ築いていくことができると述べました。たとえば、平時から情報をどのように伝達するか、人と人とがどのように支え合うか、親台的な人々とどのように連携を保つか、さらには重要な局面でどのように対外発信を行うかを考えておくことができます。こうした一見すると平凡な備えも、いざというときには大きな力になり得ます。

 当日は、多くの在日台湾人の若者が会場に集まり、また、長年にわたり台湾海峡の安全保障や日台関係に関心を寄せてきた方々にもご参加いただきました。私たちは、海外で暮らす台湾人にとって、台湾を思う気持ちは単なる感情的なつながりにとどまらず、持続的な責任感でもあることを改めて深く感じました。情勢が複雑になればなるほど、互いにつながり、情報を共有し、認識を積み重ねていくことがいっそう重要になります。その意味で、この講演は単に知識を得る場であっただけでなく、同じ空間の中で台湾への思いと台湾を守り支えたいという気持ちを改めて確かめ合う機会でもありました。

 在日台湾同郷会は、蘇紫雲所長がご多忙の中、日本までお越しくださり貴重なお話を共有してくださったことに、心より感謝申し上げます。また、ご参加くださったすべての皆さまにも深く御礼申し上げます。今後も台湾の公共課題、安全保障情勢、そして海外に暮らす台湾人の役割に関するさまざまな活動を継続して開催し、在日台湾人が故郷を思うだけでなく、それぞれの立場から台湾を支える力となれるよう、ともに歩んでまいります。

 


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